「高齢者等終身サポート」で築く安心の地域ネットワーク
もっとおひとり様を安心して受け入れられる福井にしたい。当事務所は、県内ではこの分野の先駆者です。きっかけは数年前、コロナ禍でのお一人暮らしの方からのご相談でした(福井新聞にも取り上げて頂きました)。現在、福井県内の、個人や小規模事業者、地域コミュニティがするサポート契約の公正証書の多くを当事務所が作成しています。(県外拠点の全国規模の業者は別として、現在のところ県内ではこういったタイプの契約が多い状況な気がします)。政府のガイドラインに基づいた約款等作成も行っています。だからこそ、適正なサービスを広めることに責任を感じています。
1.高齢者等終身サポート事業とは?その背景と必要性
高齢化が進む日本社会において、高齢者が安心して暮らせる環境を整えることが求められています。特に、身寄りがいない方や、家族が遠方に住んでいる高齢者にとって、日常生活や医療、介護、財産管理、そして万一の時の対処までサポートを受けられる仕組みが必要です。そこで登場したのが「高齢者等終身サポート事業」です。(実際には、身元保証契約、任意後見契約、死後事務委任契約など既存のサービス契約を組み合わせたものです)。
当事務所はこれを地元の既存の高齢者支援事業者はもちろん、地域コミュニティや支援者、(お子さん以外の)ご親族が行う場合も含めて考えており、それぞれ実績があります。
そしてこの取り組みは、地域社会の連携があってこそ実現できるものです。当事務所では、親族を含めた個人や地域コミュニティが行う場合も含めて、福井県内の高齢者支援事業者(介護事業所、医療機関、不動産管理会社、葬儀事業者、寺院、その他高齢者支援を行っている事業者や団体、機関)などと協力し、それぞれの強みを活かしたサービス提供を支援します。競争ではなく、個人や団体、事業者同士の連携を通じて、高齢者がより安心できる地域をつくることを目指します。
この事業は従来「身元保証サービス」と言われていました。しかし「身元保証」の言葉自体内容が実は定義が明確ではなく、身元保証を必ず必要なものとして言葉をクローズアップする問題もあり(厚労省医政医発0427第2号平成30年4月27日通達「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」・医師法第19条第1項等から医療機関や介護施設が身元保証を必須とすること自体の問題あり)、令和6年政府のガイドライン発表よりがこのようなネーミングが定着しつつあります。ただ、この高齢者支援を行っていると身元保証的な存在はやはり求められるところであり、全くいないとなるとご本人の生活、権利保護、心情にも深く影響しますし、社会も立ち行かなくなります。
このような事情による妥協策が令和6年6月の政府によるガイドライン発表かと思います。(その為、このようなサービスについて慎重な意見もあります)
2.高齢者等終身サポートサービスの概要
このサービスは、高齢者や障がい者が安心して生活するための支援を行います。具体的には、次の内容があります。
日常生活の支援(いわゆる身元保証を含む):通院の付き添い、緊急時の対応、生活サポートの支援
財産管理:年金の受け取りや支払い管理、預貯金の管理
医療・介護のサポート:入院や介護施設への入所手続き、本人が希望する医療が受けられるような支援
任意後見:認知症になったときの為の事前契約に基づく本人の望む内容での成年後見制度利用(裁判所が選任する法定の成年後見とは異なります)
死後の手続き支援:葬儀や納骨、遺品整理、遺言の執行
このようなサポートを通じて、高齢者が安心して生活できる環境を整えることが目的です。部分的スポット的に行うケースもあります.例えば、身元保証や生活支援だけ(介護事業者・地域コミュニティ団体)、葬儀だけ(寺院や葬儀事業者)、成年後見だけ(士業)など、サポートの多様性を活かしてサービスを提供できるのが特徴です。
その結果、身寄りのない方を安心して受け入れられる社会になります。
- ご本人のメリット:安心な生活、地域との繋がりの維持
- 事業者のメリット(連携事業者も含む):安心しておひとり様を受け入れられる、関われる(サービスの補完・安定にも繋がる)
- 社会のメリット:高齢者等福祉の充実による住民全体の安心感の向上 (地域の福祉力の向上・行政の負担軽減にも繋がる)
3.福井県における実績と当事務所の役割
福井県内では、まだ実績のある事業者が少なく、実務に詳しい士業もほとんどいません。そのため、適切なサポートを提供できる専門家の存在が求められています。県内でほとんど実例がない中、当事務所は公証人役場と協力し、数多くの公正証書を作成してきました。政府のガイドラインに基づいた字事業の約款(基本契約書・重要事項説明書)作成の実績もあります(弁護士によるリーガルチェックも経ています)。
普通なら従来、お子さんなどごく近い家族(ご本人に養育された、長年ご本人と過ごしご本人を深く理解している、次世代として財産も引き継ぐ予定の方)が無償で行っていることです。しかし、そうでない個人や事業者が行うことは、労力的にも資金的にもスキル的にも実は並大抵のことではありません。県外からの支援は事業者であってもなかなか難しいかと思います。その分野において地域に根ざしたコミュニティや事業体(高齢者支援に実績のある事業者や組織団体)、親族(子供以外の親族)、地元の士業も含めて、元々ある福井県内の地域リソースを活かすこと、必要なら互いに連携することが、福井に住む私達の幸せにつながる近道ではないかな、と考えます。
4.政府のガイドラインに基づいた約款やサービス運営
令和6年6月、内閣官房、内閣府 孤独・孤立対策推進室、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の連名でガイドラインが公開されました(列挙された省庁の数をみても、このサービスの複合性や難しさがわかるかと思います)。親族や士業が自身で行う場合は公正証書だけでよいのですが、事業者として継続的にサービスを行う場合は、(法的義務ではないものの)まずこのガイドラインを満たす約款等(基本契約書や重要事項説明書)が必要です。(反対にもし、ご自身がお客様として事業者にサポートを依頼されるなら、その事業者がこのガイドラインを満たしているか確認した方がよいでしょう)
法務省HP https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00358.html
- 契約の適正化:契約内容と費用の明確化(身元保証、入院対応、死後事務、日常生活支援など)、不当な契約の禁止(死因贈与や寄附を条件にしない)、契約解除の適正な設定(消費者契約法に基づく適切な契約料)、事項重要説明書渡し(サービス内容、料金、解約方法など)
- 財産管理の透明性:預託金の管理方法を明確にする、利用者通帳・現金管理の適正化、利用者への定期的な財産状況の報告
- 適正なサービス提供:利用者の判断能力低下時の対応策を定める、緊急時の対応手順を明確にする、利用者の希望や状況を定期的に把握する
- トラブル防止:不当な勧誘の禁止(「契約しないと生活が維持できなくなる」などの不安を煽る行為をしない)、賃貸の適正な手順を知って、正当な間違い約金設定を行う、利用者が求めた際に、サービスの実施状況を報告する
- 事業者の情報開示:事業者情報や提供サービスをホームページなどで公表、個人情報保護の方針を決定する、利用者相談窓口を設置し、連絡先を明確にする
以上がガイドライン上のチェック事項の概要です(先行して出された静岡県のガイドラインよりいくぶん緩めですね)。具体的な記載も多く、事業スキーム作りだけでなく現場対応でもかなり参考なります(ただし日弁連からの意見書があった通り、それでも尚課題となる部分はあります。今後アップデートが続くかと考えます)
5.高齢者等終身サポートに必要な公正証書による契約とは?
その上で終身サポートサービスを適切に提供するためには、個人や事業者関係なく、利用者との間で明確な契約を結ぶことが重要です。特に、次のような契約書を公正証書として作成することが求められます。
- 任意後見契約:本人が判断能力を失ったときに備え、後見人を指定する契約
- 財産管理委任契約:日常の金銭管理や支払い手続きを代理人に委託する契約
- 死後事務委任契約:葬儀や納骨、役所への届出などを第三者に委任する契約
- 遺言:お亡くなりになった後の財産について処理を行う遺言執行者を定める必要があります。死後事務委任契約とセットで考えるべきです。
- その他に見守り契約、尊厳死宣言書を作成することもあります
訴訟も多くトラブルが多い分野です。以上のような公正証書を作成することで、契約内容が明確になり、トラブルを未然に防ぐことができます。特に任意後見契約に関しては公正証書でなければ効力が生じません。
6.その他の書類文書について
親族関係図や(財産管理の前には)財産目録、医療指示書、ライフプランについての文書など、サービスの内容によって様々な文書づくりが必要になります。
7.サポート事業に必要な制度知識と当事務所の専門性(実績の理由)
高齢者等終身サポート事業を適切に運営するためには、成年後見の知識と実務が必須となります。当事務所の代表は、福井県内の行政書士成年後見人団体の運営メンバーであり、豊富な経験があります。また、サポートサービスに関しては、消費者契約法上の問題から消費者団体訴訟が提訴されたものもありますが、代表は前職の消費生活センターでの対応実績から、消費者関連法にも慣れ親しんでいます。県内の先駆者というだけではなく、行政書士として政府のガイドラインの立ち位置にも詳しく、現場の必要性とコンプライアンスのバランスに配慮した事業スキームや契約書の作成を行っています。
8.まとめ
高齢者が安心して生活できる社会を実現するために、社会全体が「高齢者等終身サポートサービス」として適切なサポート体制を構築することが不可欠です。当事務所では、これまでの実績を活かし、多様な皆様と連携し、それぞれの役割を活かしながら最適な支援を提供していきます。例えば、地域コミュニティの方やご親族には公正証書契約書の作成と実務のアドバイス、地元の介護事業所、医療機関、福祉関連団体、不動産管理会社、葬儀事業者等の事業者様の場合は、加えて約款等の作成まで行い支援、多様な事業者様の連携構築まで行いたいと考えています。もっと福井県でサポートを受けられる方が増えれば、福井はもっと幸せになります。
特に地域の、介護事業所、医療機関、福祉関連団体、不動産管理会社、葬儀事業者等の高齢者支援事業者様、機関団体様にとって、このサービスの利用、関係作りは大きな意味を持ちます。高齢者支援の一環として、適切な運営体制を整えることが求められていくでしょう。
私達は、事業者、コミュニティ団体や機関、支援者一人一人の関係性を大切にしながら、より良いサポート体制を築くことを目指しています。おひとり様のため、本サービスに関心のある事業者や団体の方、契約書作成を検討されている個人の方も、是非お気軽にご相談ください。
(関係機関、専門家、士業の垣根をはらった情報交換のセミナーも近いうちに出来たらと思っています。)